トップコラム 障がい者グループホームは何歳まで? 知っておきたい年齢制限と65歳問題。そしてこれからの暮らし

障がい者グループホームは何歳まで? 知っておきたい年齢制限と65歳問題。そしてこれからの暮らし

更新日 2025年01月27日
障がい者グループホームの入居条件における年齢制限は、身体障がい者に65歳未満までの決まりがある以外はありません。介護保険の対象になっても個々人の状況によって判断されるので、障がい者福祉サービスを継続利用できる場合が多くなっています。医療的ケアや看取りを希望する場合には、医療機関と連携体制が整っているグループホームを選びましょう。障がい者グループホームは地域共生社会のためになくてはならない存在なのです。
障がい者グループホームには何歳まで入れる?

障がい者グループホームには何歳まで入れる?

障がい者グループホームは、障がいのある方が地域で安心して暮らせる住まいです。
年齢制限が気になる方もいるかもしれませんが基本的には、知的障がいがある方と精神に障がいのある方に年齢制限はありません。
ただし、身体に障がいがある方の場合は原則65歳未満ですが、65歳前に障害福祉サービスを利用していれば、引き続き利用可能となっています。

<障がい者グループホーム利用の年齢制限>
  • 知的障がいのある方・精神に障がいのある方の場合:年齢制限なし
  • 身体に障がいのある方の場合:原則として65歳未満まで。ただし、65歳前に障害福祉サービスを利用していた場合は、引き続き利用可能

障がい者グループホームとは?

障がい者グループホームとは福祉サービスのひとつで、必要な支援を受けながら仲間と暮らす住まいです。障がいがあっても他の人と変わりなく、地域で普通に暮らしたいと思うのは、人として当然の権利。思いを実現するのが障がい者グループホームです。
障がいのあるなしに関係なく、誰もが地域で暮らせる「共生社会」の実現に向け、障がい者グループホームは、障がいのある方が地域で自分らしく暮らすための重要な選択肢と言えるでしょう。

なぜ?身体に障がいのある方の年齢制限

障がい者グループホームを利用する際、身体に障がいのある方の場合は、原則として65歳未満という制限があります。いっぽうで、知的発達の特性がある方や精神に障がいのある方は、年齢を気にせず利用できます。
では、なぜ違いがあるのでしょうか?理由は日本の福祉制度にあります。65歳以上になると、介護保険制度が優先されるためです。
しかし、介護保険制度にはグループホームに該当するサービスがありません。そのため、身体に障がいがある方で65歳以上になる場合は注意が必要です。

ただし、65歳になる前にすでに障害福祉サービスを利用している場合は、引き続きグループホームを利用できますのでご安心ください。
15歳頃になると、将来を見据えて、一人ひとりの状況に応じた生活の場を考える時期が来ます。グループホームへの移行も選択肢のひとつです。計画は定期的に見直され(少なくとも6か月に1回以上)、場合によっては18歳未満でもグループホームで生活できる場合があります。

措置児童とグループホーム

児童相談所が、家庭環境等の事情により、保護者の下での生活が困難と判断した児童を「措置児童」といいます。措置児童には、里親に委託された児童や、乳児院・児童養護施設・障害児入所施設などに入所している児童が含まれます。
このような措置児童が15歳頃になると、児童相談所は、その子の状況に合わせて、将来の生活について検討を始め、選択肢のひとつとして、グループホームへの移行が考えられるのです。
グループホームへの移行を検討する際には、児童相談所が定めた援助方針を踏まえた判断が重要です。その子の状況や福祉の観点から、グループホームが適切な生活の場かどうかを判断します。

知っておきたい「65歳問題」とは?

障がい者グループホームを利用している方が65歳になると、介護保険の対象者となります。一体どういうことなのでしょうか?

2つの制度「障害福祉サービス」と「介護保険サービス」の違い

日本には、障がいのある方を支援するための「障害福祉サービス」と、高齢者を支援するための「介護保険サービス」という2つの制度があります。

サービス内容と利用料の違い

障害福祉サービスには、就労継続支援や行動援護など、障がいのある方のニーズに特化したサービスがあり、利用料は収入に応じて0円から37,200円までとなっています。
いっぽう介護保険サービスには、訪問看護や介護老人福祉施設など、高齢者のニーズに特化したサービスがあり、利用料はサービス費用の1割を負担します。

<障害者福祉サービスと介護保険サービスの違い>
障害福祉サービス 介護保険サービス

サービス内容

障害福祉独自サービス

  • ・就労継続支援
  • ・行動援護
  • ・同行援護
  • ・障害者支援施設 など

介護保険独自サービス

  • ・訪問看護
  • ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • ・介護老人福祉施設(特養) など

利用料

応能負担。0~37,200円

利用者負担1割

申請窓口

障害福祉サービス事務所

介護保険事務所

似たサービスと優先順位

2つの制度には、それぞれ独自のサービスがある一方で、ホームヘルプやデイサービスなど、似たサービスも存在します。このような場合、障害者総合支援法第7条により、65歳以上の方は介護保険サービスを優先的に利用するよう定められているのです。

<障害者福祉サービスに相当する介護保険サービス>
障害者福祉サービス 相当する介護保険サービス

ホームヘルプ

居宅介護、重度訪問介護

訪問介護

デイサービス

生活介護

通所介護

ショートステイ

短期入所

短期入所生活介護

障がい者グループホームにおける「65歳問題」

65歳を境に、障害福祉サービスから介護保険サービスに移行する際に、生活が不安定になる可能性があり、いくつかの問題が生じるケースがあるのです。
この問題が、「65歳問題」と呼ばれています。

<問題点>
  • 利用者負担の増加
    障害福祉サービスでは利用料が無料だった方が、介護保険サービスに移行すると1割負担が発生する。
  • サービス事業所の変更
    使い慣れた障害福祉サービス事業所から、別の介護保険サービス事業所を利用しなければならない。
  • サービス内容の変化
    障害福祉サービスの内容と、介護保険サービスの内容が完全に一致しない場合もある

「65歳問題」を解決する2つの制度

「65歳問題」によって、これまで利用してきた障害福祉サービスを継続できなくなる可能性や、新たな負担が生じる可能性があります。
そこで、障がいのある方が65歳を迎えても、安心して生活を続けられるよう支援する2つの制度について知っておきましょう。

1.共生型サービス

共生型サービスとは、障害福祉サービス事業所が介護保険サービスと同様のサービスを提供できる制度です。
65歳になった後も、これまでと同じ事業所で、同じスタッフからサービスを受け続けられます。環境やサービス内容が大きく変わることに不安を感じる方にとって、安心できる制度です。

2.高額障害福祉サービス等給付費

高額障害福祉サービス等給付費は、障害福祉サービスと介護保険サービスを併用した場合などに、利用者負担の増加を抑えるための制度です。
65歳になる前は障害福祉サービスの利用料が無料だった方が、介護保険サービスを併用して1割負担が発生した場合でも、この制度を利用すれば自己負担額を軽減できます。
高額障害福祉サービス等給付費を利用するには、申請が必要です。支払方法は、いったん費用の全額を支払い、後から申請により規定の額が払い戻される「償還払い」となります。

65歳以降もグループホームで安心して生活を続けるためには?

65歳以降もグループホームで安心して生活を続けるためには?

障がい者グループホームで生活している方が、年齢を重ねて認知症になったり、病気で寝たきりになった場合はどうすればいいのでしょうか。
介護保険や医療保険を併用して、住み慣れた環境で生活を続けていける方法を、例に基づいて解説します。

【例1】 認知症になった場合:介護保険サービスを利用しながらグループホームに居住

グループホームの利用者が認知症になっても、介護保険のデイサービスなどを利用しながら、グループホームで生活できます。デイサービスでは、レクリエーションやリハビリテーションなどを通して、心身機能の維持・向上を図り、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。ただし、すべての方に同じサービスを提供するのではなく、個別の状況に応じて必要な支援内容の判断が重要です。

認知症対応型共同生活介護への移行は不要

介護保険サービスには、認知症に対応したグループホームである「認知症対応型共同生活介護」があります。しかし、すでにグループホームで生活している方が、認知症になったからといって、認知症対応型共同生活介護に移行する必要はありません。

【例2】 寝たきりになった場合:介護保険や医療保険の訪問看護を利用しながらグループホームで生活

寝たきりになった場合でも、訪問看護を併用して、グループホームでの生活を継続できます。訪問看護は、医療保険と介護保険の両方にあるのです。看護師がグループホームを訪問し、健康状態の確認や医療処置、リハビリテーションなどをおこないます。

看護職員が常駐するグループホーム

看護職員が常駐している障がい者グループホームもあります。看護職員が常駐するグループホームでは、24時間体制で健康管理や医療処置などのサポートを受けられるので、より安心して生活を送れるでしょう。

障がい者グループホームで受けられる医療的ケアとは?

ほとんどの障がい者グループホームでは、医療的ケアに対応していないので、必要に応じて利用者の実情に合ったところを探す必要があります。
喀痰吸引と経管栄養は、特定認定行為として、研修を受ければ介護職員でも実施可能です。

障がい者グループホームでは通常、医療的ケアに対応していない

グループホームは障がいのある方の生活の場ではあるものの、医療ケアが必要な人ばかりではないので、看護師などの医療的ケアができる人の配置は義務付けられていません。そのため、ほとんどのグループホームでは医療的ケアに対応していないのが実情です。
ただ、障がいを持つ方すべてが入居できるグループホーム。介護職員で足りない医療的ケアに訪問看護などで対応しているグループホームもあります。

医療的ケアが必要な場合には、看護師が常駐するグループホームを探す

グループホームによって医療的ケアが必要な方の受け入れ体制は違うので、利用者の実情に合ったところを探す必要があります。
目安の一つは看護職員の配置状況です。グループホームは、基準で決まっている職員に加え看護師などを配置して利用者の健康管理をした場合、報酬上で評価されます(収入になる)。

グループホームで健康管理をするのは介護職員

グループホームでも身体へのリスクが低い健康管理は、介護職員がします。また研修を受けた介護職員であれば、たんの吸引や経管栄養は実施可能です。

介護職員ができる健康管理

介護職員のできる健康管理は、自動血圧計を使った血圧測定や体温測定、内服介助などです。利用者へ声を掛けたり、環境を整えたりしながら、健康習慣をサポートしています。

研修を受けた介護職員ができる医療的ケア

以前は医師や看護師など、医療関係の免許を持つ人しか、いわゆる医療ケアには携われませんでした。しかし2012年度の法改正により、一定の研修を受け都道府県知事に認定されれば、医療関係の免許がなくても、たんの吸引などをおこなえるようになりました。

障がい者グループホームで看取りまで対応するには?

障がい者グループホームで看取りまで対応するには?

最期まで住み慣れた環境で過ごせる看取りは、障がい者グループホームの利用者にとっても、その家族にとっても大きな安心につながります。「看取り」は障害福祉サービスにはまだないため、すべてのグループホームが看取りに対応できるわけではありませんが、介護保険を使うと対応可能な場合もあります。

看取りとは

看取りとは、本人の意思を尊重し、自然に亡くなるまでの過程を見守る一連の行為を指します。
かつては医療や介護の行為そのものを表す言葉でしたが、現在では、周囲の世話のあるなしに関わらず、最期を見守る状況全般を「看取り」と捉えるようになっています。

グループホームでの看取りの特長と注意点

グループホームでの看取りは、環境を変えないで最後まで過ごせるのが最大の特長です。
環境の変化で不安になり、状態が悪くなる事態を回避できます。また、利用者の生活習慣などをよく知るスタッフによる介護なので、細かい配慮も可能です。
すべてのグループホームが看取りに対応できるわけではありません。制度が変わる可能性も考えられますが、看取りまで希望する場合には、体制の整っているグループホームを選びましょう。

<グループホームで看取りの特長と注意点>
グループホームで看取るときの特長 グループホームで看取るときの注意点

   ・環境を変えないで、支援を受けられる

   ・医療体制が十分に整っていない

   ・きめ細やかに対応してもらえる

介護保険を使った看取り

障害福祉サービスでは、まだ看取りまでの支援体制が整っていません。そのため、グループホームで看取りをおこなう場合は、医療機関と連携し、介護保険サービスを利用する必要があります。
看取りをおこなうグループホームでは、家族の協力を得ながら同意書などの書類を整え、利用者の日常の様子や職員間の連携を密にするなど、さまざまな取り組みを行っています。
また、看取りまで対応できる体制が整っていないグループホームでも、看取りの必要性を感じている施設は多くあります。
「障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会」は、障害福祉サービスにおける看取りの重要性を訴え、制度の整備を求める意見書を提出しました。

地域共生社会における障がい者グループホームの役割とは?

地域共生社会とは、地域住民一人ひとりが、年齢や障がいの有無に関わらず、共に支え合い、地域を創り上げていく社会です。
障がいのある方もひとりの人間として、地域で暮らしていきたいのは当たり前の願い。障がい者グループホームは、そんな願いを叶える場です。障がいのある方が地域で自分らしく暮らすための拠点となり、地域共生社会の実現に貢献していく役割を担っているのです。
利用者は、地域活動への参加や地域住民と交流を通じて、地域社会に貢献できます。
たとえば、地域のイベントやボランティア活動に参加して、地域とのつながりを深め、地域社会の一員としての役割を果たせるでしょう。

また、グループホームは地域住民との交流の場となり、障がいに対する理解を深め、地域全体のインクルーシブな意識を高めていく責務も大きくなっています。
高齢化が進む現代において、年齢を重ねても安心して生活を続けられるよう、障がい者グループホームの役割はますます重要になっています。

安心と笑顔を届ける。 医療的ケアにも対応!重度障害者向けグループホーム

ソーシャルインクルーは、加齢に伴い医療的ケアや介護が必要になった方々にも、安心して暮らせるようさまざまなサポートを提供しています。
24時間体制で経験豊富なスタッフが常駐し、夜間も安心。
日中は、レクリエーションや機能訓練などを通して心身ともに健康な生活を支援いたします。

医療的ケアが必要な場合でも、まずはお問い合わせ、ご相談ください。
個別支援計画に基づき、生活全般をサポートすることで、住み慣れた地域で安心して生活を続けられるようお手伝いいたします。
ご家族の方もお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらまで0120-139-196

ウェブサイトhttps://www.socialinclu.co.jp/

ソーシャルインクルーは、「住み慣れた地域で、安心して暮らしたい」という願いを叶えるお手伝いをいたします。

Contact お問い合わせ