障がい者グループホームの食事事情は?メニュー例から栄養バランス・食事代・QOL向上まで徹底解説

障がい者グループホームでの食事提供は基本サービスのひとつ
食事は多くの人にとって、健康維持に必要不可欠です。また、食事の時間を毎日一定にすれば、安定した生活リズムを保っていけます。これに伴い、多くの障がい者グループホームでも、朝食と夕食が提供されます。グループホームの種類(類型)によっては昼食も、基本的なサービスの一つとして提供されています。
食事は基本、朝夕2回。施設によっては昼食の提供も
障がい者グループホームのうち、多くの介護サービス包括型や外部サービス利用型では、朝食と夕食の2回、食事が提供されています。食事の時間は施設によりますが、朝食は7時~9時の間、夕食は18時〜20時の間で提供される施設が多いようです。
介護サービス支援型と外部サービス利用型の施設では、多くの利用者が平日日中に就業先や通所施設に通っているため、昼食はそれぞれの活動場所で摂ります。日中活動先が就労継続支援などの通所施設の場合は、昼食が必要な旨申請すると、有料での昼食が一般的です。
一方で、日中サービス支援型グループホームには日中も施設内で日中活動をする利用者が多いため、ほとんどの日中サービス支援型では朝食と夕食に加え、昼食も基本的サービスとして提供されています。
栄養バランスの取れたメニューを施設内で調理が一般的
障がい者グループホームの食事は、一般家庭のメニューと同じような、家庭的な食事が提供されます。複雑な調理を必要とせず旬の野菜などを利用した、炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラルがバランスよく摂取できる献立が考えられています。
管理栄養士が献立を考えている施設もあれば、農林水産省が推奨する「食事バランスガイド」に基づいて管理者や世話人が献立を考え、食事管理をしている施設もあるようです。宅配サービスを利用している場合は、管理栄養士監修メニューとなります。
食事の調理は施設内のキッチンで、世話人などスタッフが順番でおこなう場合が多く、出来たての暖かい食事が提供されます。食材は施設が提携している業者から仕入れたり、近所のスーパーで仕入れる場合もあるのです。宅配サービスを利用している場合は、すでにカットされた食材を仕入れ手軽に調理できたり、保温されたお弁当を仕入れる施設もあります。
具体的な食事メニュー例をご紹介
障がい者グループホームでの食事では一般家庭と同じく、季節の食材を活用した、季節に合わせたメニューが考えられています。
<12月のある日の具体的なメニュー例>
- 朝食:ご飯・チーズサンドはんぺん・ブロッコリーの小海老和え・のり佃煮・味噌汁(277kcal)
- 昼食:親子丼・ふろふき大根・茄子の酢醤油和え・すまし汁(564kcal)
- 夕食:もち麦ご飯・カレイの照り焼き・小松菜と小柱の炒め物・キャベツのごまだれ和え(439kcal)
主食はご飯(白米)がメインの献立が多いでしょう。ときには朝食や昼食にパンやパスタが出たりと、和食と洋食をバランスよく組み合わせている施設も多いようです。
また、利用者の誕生日にはデザートにケーキが出たり、クリスマスにはチキンステーキ、お正月にはおせち料理を提供する場合も。イベントの内容に合わせてピザやハンバーガーなどを注文する施設もあります。
大勢で食べる食事の場は、コミュニケーションの場でもあります。利用者が他の利用者と一緒に食事を楽しめるよう、工夫をしている施設を選べると、栄養面プラスアルファの安心感がありそうです。
利用者の調理参加は施設によってさまざま
障がい者グループホームは、障害のある人の自立した暮らしを支援しているため、日常生活上の家事(掃除や洗濯など)は、支援を受けながら利用者自身でおこなうよう推奨されています。施設によっては食事の調理も家事の一つと考え、世話人などのスタッフと利用者が一緒に調理をするケースもあります。その場合は、利用者の障がいの程度や調理への興味関心の程度に合わせて、無理のない範囲で参加できるよう調整してくれるでしょう。
一方で、衛生面の観点から利用者の調理への参加を実施していない施設もあります。将来的に一人暮らしを希望している場合は調理経験は自信へとつながりますが、料理が苦手な場合は最初から利用者が参加しなくてもよい施設を選ぶと安心できるでしょう。

障がい者グループホームの食事代は実費負担。実際の費用
障がい者グループホームで提供される食事代は、食材費などの実費負担となります。食事代の計算や決定方法は施設によって異なりますが、利用者の不利益とならないよう、現在はあらゆる対策が取られています。
1日あたりの食事代、目安は1,300円程度
障がい者グループホームで提供される食事代は施設にもよりますが、平均的にみると月額4万円前後で考えられています。これを日割りで計算すると、1日あたりの食事代は1,300円程度になります。この料金には食事に使用するために購入した食材費のみ含まれており、調理するスタッフの人件費は含まれていません。
また、低所得の非課税世帯や生活保護を受けている場合は、障害福祉サービスにより補足給付を受けられます。
施設によって異なる、食事代の計算方法や決定方法
食事代の計算方法や請求額の決定方法は、施設によってさまざまです。1回あたりの食事代が決まっていて、施設で食事をした回数分請求または精算する施設もあれば、月額固定で食事代を決めている施設もあります。
1回あたりの食事代が決まっている施設では、食べた分のみの費用負担となるため、たとえば外食し施設で食事しなかった日が1度あったとすると、1回分の食事代は請求されません。利用者が施設で食事する回数によって、月々の食事代が変動します。
一方、月々の食事代が固定されている場合は、食事回数によって請求額の変動はありません。ただし一定期間で食事代の余り分は返金、足りない分は追加請求をするため、利用者に不利益にはならないようです。
入居を希望する施設が食事代をどのように決定しているのか、ルールを見学の際にしっかり確認しておきましょう。不安な場合は、定期的な外部の方の介入による調査の有無についても確認するとよいでしょう。
障がい者グループホームでの食事で社会性や生活力も獲得
障がい者グループホームで利用者の食事は、ただ単に栄養を摂取するためだけでなく、さまざまな面で利用者のQOL(Quality Of Life=人生・生活の質)向上につながります。
生活リズムを整え、健康的な心身を維持する
障がい者グループホームでは、毎朝・毎夕、食事の提供時間が決められています。食事の時間が決まっていると起床時間が定まり、起床時間が定まれば就寝時間も自然と定まるため、規則正しい生活リズムが作られていきます。
また、栄養バランスが考えられた食事は利用者の健康維持に欠かせません。栄養だけでなく摂取カロリーも考えられています。
アレルギーやミキサー食などの個別対応もしている場合も含め、安心してバランスよく栄養を摂取できるのは、障がい者グループホームで食事する上での大きなメリットと言えます。
他者と関わり、社会性や生活力を身に着ける
食事時間が定められているため、障がい者グループホームでは利用者・スタッフみんなで食卓を囲みます。大勢が集まれば自然とコミュニケーションが生まれ、「おいしいね」などの食事を介した会話も弾むでしょう。こうした他者との関わりにより、利用者の社会性が育まれていくはずです。
また、調理参加までいかなくても、「料理を運ぶ」「食べ終わったお皿を下げる」「テーブルを拭く」などの家事に関わる活動は自立心を高めます。食材を買いにスタッフと一緒にスーパーへ買い物へ行けば、地域の人々との関わりも生まれていくはずです。自分が買い物で購入した食材が食卓に並び、他の利用者が美味しいと食べる姿を目の当たりにすれば、達成感へとつながっていくでしょう。
食事を通じたさまざまな場面で、利用者のQOL向上が見込まれるのです。

障がい者グループホームの食事に関するQ&A
食事は心身の健康に欠かせず、生活の中で大きな役割を担っています。その分、家族としては利用者本人の健康と生活を思案し、気になる点も多いでしょう。食事に関するよくある質問をまとめてご紹介します。
食物アレルギー、嚥下障がいetc…対応してもらえる?
多くの障がい者グループホームでは食事に対する個別ニーズにも対応しています。食品アレルギーがある場合はアレルギー対応食、咀嚼・嚥下機能に不安がある場合は刻み食やミキサー食などに対応可能しているケースが多いでしょう。中には糖尿病食に対応してくれる施設もあります。
こうした個別対応は、生活する上で非常に重要なポイントです。食事に不安がある場合は、個別対応が可能か必ず確認をしましょう。なお、介護サービス包括型や日中サービス支援型の施設では、食事の際には生活支援員が食べにくくないか、嚥下の危険性などにも目を配っています。
昼食も必要になったとき、どうしたらよい?
介護サービス包括型や外部サービス支援型のグループホームでは、普段は昼食が提供されません。しかし、体調不良などの事情で平日や日中に施設に滞在する場合、昼食が必要になる場合もあります。事前に昼食が必要であるとわかるときは事前に、当日急遽の場合でも、昼食を提供が可能か、施設のスタッフに相談しましょう。
食事提供を無しにしたい場合は?
外食などの予定で施設での食事をキャンセルする場合は、食材を仕入れるタイミングなども考え、キャンセルしたい3日前までを目安にスタッフに伝えましょう。「全体的に施設での食事を無しにしたい」というケースはほぼなく、自分で食事を用意したり外食回数が多くなるよりも施設で食事を定期的に摂る方が、栄養面・経済面ともにベストです。毎週末は家族と外で一緒に食事したいなど、特別なこだわりや理由がない限りは、平日は可能な限り施設での食事を優先するとよいでしょう。
家族が遊びにおこなったとき、一緒に食事できる?
多くの障がい者グループホームでは、利用者の家族であれば、施設に遊びに行けます。中には、家族が暮らす施設で一緒に食事をして、普段の様子を確認したい場合もあるでしょう。施設内で家族が一緒に食事するのを許可している施設もあるようですが、家族分の食事は施設からは提供されないため、持込みが基本のようです。また、他の利用者との食事の場で一緒に食事ができるかについては、施設との相談が必要です。希望する場合は必ず相談をするようにしましょう。
施設の特徴を理解し施設選びに活かすために
障がい者グループホームは利用者にとって「もう一つの家」であり、もちろん、家の中での過ごし方は基本的には自由です。調理に関しても、利用者の意志で行える施設も少なくないようです。
しかし、障がいがない人でも怪我をする可能性のあるキッチン…危険が多いように感じますが、共同生活のためのルールがあります。
調理内容や調理に使う食材、使用時間帯も含めて、必ずスタッフに事前の相談が大切です。利用者の障がいの程度によっては、安全面を考慮して利用を制限される場合もあります。
障がい者グループホームのキッチンは、一般家庭のキッチンと変わりはありません。ただ、IHコンロを採用している場合が多く、包丁などの自由使いは禁止されているケースが多いようです。
このように、食事や調理に関する内容やルールは施設によって異なります。自由度の高さは障がいが比較的軽く、チャレンジ精神旺盛な方や本来料理好きな利用者にとっては嬉しい反面、家族にとっては、それを見守るスタッフ体制の有無が大きなポイントとなるでしょう。
食事時間が定められていなかったり、中にはカップラーメンなどが提供される施設もゼロではないようです。食事時間は生活リズムの安定に欠かせず、栄養バランスは健康面では必須です。見学の際に一日のスケジュール例や献立表を提示してもらえるかどうかも、施設選びの重要な要素として理解しておきましょう。

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