障がい者グループホームの探し方が知りたい！見学や相談を活用し自分に合った施設を選ぶポイントとは？

なぜ障がい者グループホームが必要なのか？

障がいのある方が地域で安心して暮らすためには、様々なサポートが必要です。選択肢の一つとして、近年注目されているのが障がい者グループホームです。

障がい者グループホームとは？

障がい者グループホームは、正式には「共同生活援助」と呼ばれ、障がい者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつです。食事や入浴などの日常生活のサポートを受けながら、少人数で共同生活を送る住まいとなっています。

障がい者グループホームの特長

障がい者グループホームでは、障がいのある人たちが世話人などからサポートを受けながら、共同生活を営んでいます。アパートや一戸建て、マンションなどを利用しており、入所施設ではなく、数人程度の少人数の仲間と一般家庭のように暮らしています。

障がい者グループホームを選ぶ理由

グループホームで暮らす選択は、多くの意味があります。
障がいのある方がグループホームでの生活を選ぶのは、自身の自立や家族の負担の軽減、また地域社会とのつながりを持って、安心して生活するためです。

自立支援

家族と暮らしていると、どうしても頼ってしまう場面が多いかもしれません。グループホームでは、世話人やスタッフのサポートを受けながら、日常生活に必要なスキルを身につけ、自分のペースで自立を目指せます。

家族の負担軽減

障がいのある方の介護は、長年にわたり家族に大きな負担を強いる可能性があります。家族も高齢になり、負担も増大してきます。
グループホームの利用により、家族の身体的・精神的な負担を軽減し、より穏やかな生活を送れるようになるでしょう。
将来を見越した生活の場として、家族の精神的・身体的な負担を軽減する役割も担っているのです。

地域社会とのつながり

グループホームは、地域社会との接点としても重要な役割があります。自立した生活をしていると、近隣商店での買い物や地域行事への参加などを通じて、住民との自然な交流が生まれ、社会とつながりを持ちながら暮らせます。こうした環境は、障害のある方の生活の質を高め、より豊かな人生を送るために重要な選択肢になっています。

障がい者グループホームの探し方。4つのステップで理想の住まいを見つけよう

障がいのある方が安心して暮らせる場所として、グループホームの認知度は一般的な選択肢となっています。しかし、いざ探そうと思っても、どう始めればいいのか迷ってしまう方もいるかもしれません。そこで、グループホームの探し方を4つのステップに分けて解説します。

【1.情報収集】インターネット検索や自治体への相談

情報収集にはいろいろな方法があります。できるだけたくさんの方法で集めましょう。

インターネット検索

多くのグループホームがホームページを開設しています。写真や情報を見て、雰囲気やサービス内容を把握しましょう。

自治体への相談

各市区町村の障害福祉担当課では、地域にあるグループホームの情報提供や相談を受け付けています。ぜひ相談してみましょう。

相談支援専門員やケアマネージャーへの相談

相談支援事業所の相談支援専門員や、ケアマネジャーは職業柄、地域の福祉資源に詳しく、グループホームの状況などにも精通しています。「障がい者グループホームについて知りたい」と相談支援専門員やケアマネージャーに相談してみましょう。

【2.施設を比較検討】立地やサービス内容など項目ごとに比較

情報収集で候補となるグループホームが見つかったら、次は候補を絞り込む作業です。「立地」「定員」「利用料金」「サービス内容」「スタッフ体制」「食事」「行事」などの特徴を比較し、自分に合った場所を見つけましょう。

立地

グループホームの立地は、利用者の好みに合った周辺環境（静かな環境 or 活気のある場所）、買い物施設や駅・病院へのアクセス、車椅子利用時の段差やスロープの有無などを考慮して選びましょう。

利用料金

グループホームの利用料金は、サービス利用料と特定費用と呼ばれる生活実費（家賃、食費、光熱費など）から成り立っています。内訳をきちんと確認し、利用できる助成制度や補助金があるかどうかも調べておきましょう。
生活実費のうち大きな割合を占めるのが家賃ですが、同条件の近隣賃貸物件と同じくらいに設定されています。相場と比較して検討しましょう。

サービス内容

利用者の障がいの特性に合わせた個別支援計画が作成されるかを確認しましょう。
グループホームはすべての障がいを持つ方が入居できますが、受け入れ可能な対象者を限定しているところもあります。

スタッフ体制

職員配置基準を満たしているか、十分な人員が確保されているかを確認しましょう。また、介護福祉士や社会福祉士など、専門的な資格を持ったスタッフが配置されているかの確認も大切です。
また、夜間のサポート体制がどのようになっているのかも確認しておきましょう。

食事

食事はグループホームによりさまざまです。利用者の希望や状態を考慮し、検討しましょう。栄養バランスのとれた食事が提供されるか、アレルギーがある場合は個別対応が可能か、利用者の嗜好に合わせた食事提供が可能か、など心配な点はできるだけ確認しておく必要があります。
また、料金や食事内容と照らし合わせながら、利用者が納得できる内容かも見ておきましょう。

行事

レクリエーションや行事を通して、他の人とコミュニケーションできます。グループホームは共同生活の場なので、行事は生活の潤滑油です。
利用者の希望に合わせた参加を支援してくれるかを確認しましょう。

【3.施設の見学】雰囲気や利用者・スタッフはどんな様子か

気になるグループホームがあったら、必ず見学に行きましょう。体験入居を実施している場合もありますので、積極的に利用してください。
見学すると、施設の雰囲気、実際に生活している方々やスタッフの様子がわかるので、入居後の生活がイメージできるようになります。

【4.スタッフとの面談（相談）】支援内容、入居の手続き、費用、将来の展望

入居を希望するグループホームが見つかったら、スタッフと面談し、入居できるかを相談してみましょう。
面談では、障がいの程度やサポート内容について詳しく聞かれますので、話す内容をまとめておきましょう。ずっとグループホームで生活するのか、将来的には一人暮らしをしたいのかはサポート側にも大切な情報です。利用者の希望を伝えましょう。
入居が決まると、手続きや費用の説明を受け、契約を結びます。

障がい者グループホームを探す際しっかり確認したいポイント

障がいのある方がグループホームを選ぶ際、何を重視するかは一人ひとり異なります。しかし、安心して生活を送るために、いくつかの重要な確認事項が存在します。
グループホーム選びで特に確認しておきたいポイントを、実在するエビデンスに基づきながら解説します。
障がい者グループホームを選ぶ際の優先事項は入居者ごとに異なりますが、最低限おさえておきたいポイントがいくつかあります。紹介するポイントをおさえつつ、ご本人に合ったグループホーム選びを行いましょう。

サポート内容

障がい者グループホームで受けられる支援内容は、入居者の自立度や体調によって異なり、施設ごとに提供体制も大きく異なります。入居前に詳細な確認が不可欠です。
とくに夜間のサポート体制は、「夜間支援体制（24時間常駐）」と「宿直体制（緊急時のみ対応）」の2種類に大別されます。夜間にどの程度の支援が必要か、ご本人の状況に合わせて確認しましょう。
日常生活における支援も重要な確認項目です。食事の提供方法（利用者自身が調理する必要があるか否か）、金銭管理の支援、入浴介助の有無など、生活全般にわたるサポート内容を具体的に確認しておけば、入居後の生活を具体的にイメージできます。

建物のタイプ（戸建、マンションタイプなど）

グループホームの建物タイプは、アパートやマンションなどの共同住宅と、一戸建て住宅の2種類があります。
共同住宅型グループホームは、少人数で共有スペースを利用するため、共同生活を送りながらも大人数での生活が苦手な方に適しています。ただし、同じ建物に他の住民も居住しているため、生活音などへの配慮が必要です。
一戸建て住宅型グループホームは、多人数で生活するケースが多く、他の住民への配慮は比較的少なくなります。しかし、生活音などが伝わりやすい場合もあるため、音に敏感な方は事前に確認しておきましょう。
各々の建物タイプには利点と注意点があるため、ご本人の特性に合わせて選択することが大切です。

費用

グループホームへ支払う費用は、家賃、食費、光熱費、日用品費などが含まれます。「令和4年度全国グループホーム実態調査」によれば、費用の総額は70,000円未満の施設が全体の80％を占めていました。ただし、自治体によっては家賃に対する補助金制度が設けられている場合もあります。また、日用品費やレクリエーション費用など、追加費用が発生する場合もあるため、事前に費用の総額と内訳を確認しましょう。

アクセス

グループホームを選ぶ際、立地条件も重要な要素です。通所施設や職場への通いやすさ、医療機関への距離、買い物など日常生活に必要な施設へのアクセス状況を確認しましょう。特に、公共交通機関を利用する場合は、最寄り駅やバス停からの距離、運行本数などを確認することで、日々の生活における利便性を把握できます。また、家族や知人との面会を重視する場合は、訪問者のアクセスも考慮しての検討をおすすめします。

障がい者グループホーム入居までの流れと準備

グループホームの見学や相談を通して入居先を決定後、いよいよ入居申し込みの手続きに移ります。入居までの期間は個々の状況によって異なりますので、必要な書類を事前に準備し、スムーズに進められるようにしましょう。また、家賃補助などの支援制度も利用できる場合がありますので、該当する制度がないか確認し、積極的に活用をおすすめします。

入居に必要な書類

入居手続きに必要な書類は、障がい者手帳（身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳のいずれか）・障害福祉サービス受給者証・収入証明書などが一般的です。生活保護を受給している場合は、受給を証明する書類の提出が求められます。また、常用薬がある場合は、薬剤情報提供書（お薬手帳など）の提出も必要となるでしょう。
具体的な必要書類は各グループホームによって異なるため、事前に確認するようにしてください。

活用できる支援制度

グループホームへの入居にあたっては、経済的な負担を軽減するための支援制度を利用できる場合があります。
代表的な制度として、自治体が実施している「特定障がい者特別給付（補足給付）」があります。この制度は、市町村民税非課税世帯の利用者を対象に、月額10,000円を上限に家賃の一部を補助するものです。
ただし、給付の条件や金額は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の福祉担当窓口に問い合わせて詳細を確認しましょう。

障がい者グループホームを選ぶには体験入居を活かそう

グループホーム入居を検討する際は、体験入居がある場合にはぜひ活用しましょう。実際の生活を体験できるだけでなく、段階的な自立訓練の機会にもなります。
生活リズムや他の入居者との人間関係への適応状況、提供されるサポートやレクリエーションの内容、施設の雰囲気や設備、職員との相性などを事前に確認できるでしょう。